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働く人 2022.12.21 Update

土木工事を通じて地域に根ざし、社員と真摯に向き合う株式会社フクタの「いま」と「理想」に迫る。

林道整備の現場を見学させていただいた翌日、株式会社フクタの本社へ伺った。

オフィスは2021年に新築されたばかりで真新しい。
大きな窓が均等に配置されていることが特徴的だ。
実際に室内へ入ると、日差しが広範囲から差し込んでいてとても明るい印象を受けた。

株式会社フクタでは建設会社として公共土木工事の受注・施工を行う。
会社では現場工事の他にも働きやすい職場環境の整備や、地域貢献活動にも力を入れている。
いつ、どのように上記の取り組みを始めたのだろうか。

株式会社フクタの代表取締役である福田憲司社長に、独自の取り組みから社員の業務内容・将来のビジョンまで伺った。

株式会社フクタの仕事内容とは

現場に向かう社員は朝の7時半に集合し、打ち合わせを行ったあと現場に移動する。
午前中とお昼に休憩を挟みつつ、17時まで作業を行なうという。
普段はどのような現場を担当するのだろうか。福田社長に伺った。

「私たちが行っている主な仕事は『道路維持工事』と呼ばれています。一般の交通車両が安全に通行できるよう、道路の安全確保をすることが主な内容です。例えばアスファルトの補修や、冬期間の除雪などがあげられます。」

道路維持工事の対象となる道は国道・道道・町道などさまざまな種類に分けられる。
道路の大きさや種類は異なるものの、基本的な施工内容は同じだという。
福田社長は、道路以外の現場でも工事をすることがあると話す。

「林道整備の他にも、最近では橋の補修作業も数多く行っています。目的は、老朽化した橋を長寿命化することですね。他にも川の水流をスムーズにするために、川の中にある流木や土砂などを撤去しています。その作業をすることで川幅を維持したり、堤防を守ることができます。」

数多くの現場を担当している株式会社フクタ。その現場では、どのような人材が活躍できるのだろうか。
経験も長い福田社長に伺った。

「一言で言うと、能力が高い人だと思います。その能力というのは機械を効率よく動かせる人や、頭の中で情報の整理や組み立てができるといった『要領の良さ』にあるのではないかと考えています。

着実に変わりゆく社内の雰囲気と、建設業界の構造 

株式会社フクタの社員は、若手からベテランまでさまざまな人がいる。入社経緯としては、主に同業企業からの転職が多いとのこと。
林道整備の現場を取材した際、チームの雰囲気はとてもよいことを福田社長や社員の黒島さんは教えてくれた。
社内に明るい雰囲気が漂い始めた時期は5年ほど前からだという。
なぜ、そのような雰囲気が醸成されたのだろうか。福田社長にそのきっかけを聞いた。

「社員さんが感じる満足度は『働きやすさ』も含まれると思いますが、賃金の面も大きいと思います。現場の雰囲気が良くなり始めたきっかけは、賃金を改善できた点にあると思います。」

現場で作業を見つめる福田社長

福田社長は続けて、その要因を振り返りつつ話した。

「当時は技術職員として勤めていた醜茶敏美(しこちゃ としみ)部長が、自ら全現場のサポートや管理をやってくれるようになってから会社の業績が改善され、同時に現場の品質も向上しました。その結果、社員のモチベーションも上がり社内の雰囲気も良くなりましたね。他には、10年ほど前から政府の方針で、建設業界の賃金を改善する取り組みが始まった影響もあります。」

一人当たりの年収は、役職や資格の有無にも左右されるが平均500万円前後だという。
福田社長は醜茶部長の取り組みや政府の政策によって、一人当たり30万円から50万円ほど年収が上がったのではないかと感じているそうだ。

改善されている点は、賃金面だけではない。
建設業界全体で作業の機械化を推進したり、会社の働きやすさを重視する会社が増えている。

福田社長は、業界が一体となって「建設業は肉体系で、きつい仕事」「上下関係が厳しい」という古いイメージを払拭するために、さまざまな改善策が施されていることも、事実としてあると捉えている。

フクタの現場でチームに明るい雰囲気が生まれた結果、現場では責任者の意見を絶対視せず、まずは社員同士で話し合う流れも生まれた。
工事現場から社員の生活まで。
建設業を取り巻くさまざまな環境は、着実に変わっている。

「浦幌町」という地域に根ざすための取り組み

株式会社フクタは「新しいスタイル」の建設会社へと着実に歩みを進めている。
しかし、福田社長はもうひとつ重要視していることがあると話す。

「当社は地域に根ざしていかなければいけないと思っています。いまは会社を担っていくうえで、その考えを念頭に置くようになりました。」

そう実感したきっかけは、福田社長が「地域に根ざしているとはいえない」というモヤモヤした感覚があるからだと振り返る。
福田社長の「気づき」から、地域に対する活動も始めた株式会社フクタ。
現在はどのような取り組みを行なっているか、福田社長に伺った。

「浦幌小学校で毎年6月に運動会をするときに、重機を使ってグランド整備を行います。PTAの方だけで作業をするのが大変なところを、当社の得意分野でお手伝いします。他にも、保育園の園児のみなさんを招いて機械の見学会を行っています。」

活動を積み重ねている結果を、福田社長は振り返った。

「近所付き合いが希薄だったのですが、活動を通じて小学校の校長先生や教頭先生、地域住民の方と顔見知りになることができました。」

一連の地域活動は業務の一つで行っているという。
道路や橋梁といったインフラ整備だけではなく、地域への貢献も大切にする。
その両面から、株式会社フクタは地域に根ざした会社へと今後も発展していく。

株式会社フクタ/福田社長にとっての「理想」

賃金改善による社員の待遇改善、オフィスの新築などによる働きやすい職場環境の整備、地域貢献活動などさまざまな取り組みを進める福田社長。
だが、社長は謙虚に現状を見つめている。

「うちの会社は発展途上です。まだ完成系ではありません。」

どのような会社になれば「完成系」となるのだろうか。さらに尋ねてみた。

「労働環境などが人並みになったらいいなと思っています。」

社長が描く理想は「社員の幸せ」にある。
会社として利益を上げるために労働時間や作業量を増やすのではなく、利益をあげるために社員の賃金や福利厚生をできる範囲で還元する。

その結果、社員は豊かな暮らしや不満・不自由のない生活を送ることができる。
そのように社員を大切にする福田社長の姿勢は、現場へも着実に伝わっている。

「当社の現場で明るい雰囲気がある理由も、私自身が社員を指導したからではありません。醜茶さんはじめ職員が、自主的な取り組みを行ってくれたからだと思います。

福田社長がPTA活動など地域に根ざした活動をはじめ、醜茶部長が現場に対して積極的なサポート行ったことにより、
会社組織・工事を担当する現場・社内の人間関係・社員の私生活と、株式会社フクタを取り巻く環境全体で、明るい効果が生まれている。

福田社長は理想の実現に向けて、これからも取り組みを続けていく。

この記事を書いた人

この記事を書いた人新谷有希

新谷有希

人の話を聞いて、新たな学びを得ることが好き。いまのマイプロジェクトは「興味のあることを掛け合わせながら、道東・道北としなやかにつながる」こと。地域に根ざした取材ライターとしての活動は、どう続けられるのか。デンマークにある人生の学校「フォルケホイスコーレ」を日本でどう広げていくのか、色んな人たちと探究中。

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