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働く人 2023.03.18 Update

株式会社サクシンではたらくということは、ものを作る「エンジニア」になるということ。

株式会社サクシンは、浦幌町に拠点を置き、町内をはじめとする十勝地方各地で土木工事の施工を請け負っています。
土木工事や建築工事を行う「建築業」は、「第二次産業」の仕事に当てはまります。

私たちが日頃耳にすることが多い言葉は「第一次産業」でしょうか。

第一次産業は自然界と共存する産業です。主に農作物の収穫・栽培、動物や魚を飼育・捕獲することで食料を作り、人々の命を支えています。
対する第二次産業は、地域という社会と共存する産業。主に「物」を作ることで、人々の日常的な暮らしを支えている仕事です。

今回は、株式会社サクシンの副社長である上谷内 博(かみやうち ひろし)さんに、「建設業」という仕事に対する考えや、こんにちの働き方における取り組みなどを伺いました。

「ものを作る」ことに、魅力も・難しさもつまっている。

株式会社サクシンは、1979年に浦幌町で設立されました。
当時は「丸信建設」という有限会社として発足しましたが、2度の商号変更を経て2003年に「サクシン」という名前になりました。
設立当初から土木工事の受注・施工を担当。
2006年からは、浦幌町内で事業系ごみ・資源ごみの収集運搬業も担っています。

現在の従業員は17名おり、そのうち2名は女性も働いているとのこと。
サクシンは、女性の職域拡大や子育て支援に取り組んでいる企業として「北海道なでしこ応援企業」にも認定されています。

副社長の上谷内さんは、中学時代までは浦幌町で生まれ育ったといいます。
高校・大学は町外の学校へ進学。後年に浦幌町へ戻ったのち、会社の事業継承をした経歴を持ちます。

そんな上谷内さんのふるさとで、土木工事を担当するサクシン。
上谷内さんは地域に根ざして仕事をしていく上で、一つの実感があるといいます。

「我々は浦幌町の会社ですが、工事自体は十勝地方の各地へ行くこともあります。地元で仕事をしていると、やはり知人などいろんな方と会います。そういう点では、工事もスムーズに進みますし、仕事の温かみというものがありますね。」

一方、建設業界では人手不足の課題もあります。

サクシンでは若い社員の技術教育を支援する制度として、企業が採用した社員が、専門学校へ給与の支給を受けながら通学する「企業委託生制度」を導入しています。しかし、近年では活用されていない現状もあるそうです。

上谷内さんは「この業種に魅力を感じないんじゃないか」と考えつつも、長年の経験から「建設業」に対する魅力をこのように考えています。

「大きくても小さくても、僕らの仕事はエンジニアというのかな。ものを作ることが仕事なので、そこに喜びややりがいを感じます。昔の『作業員』というイメージがあるので、『建設業はエンジニア』というところをアピールしていきたいですね。」

サクシンでは河川や道路の維持管理を目的とした工事を主に担当しています。
特に道路は何十年とわたって、町に残り続ける大切な「もの」になることは言うまでもありません。
上谷内さんは「ものを作る喜び」を実感すると同時に、責任も感じると話します。

「現場を持つということは、要するに皆さんが払った税金を使って工事をすることになるので、責任を感じることはあります。そして、発注者の要求通りに仕事をしなければいけないプレッシャーもあるので、その大変さもありますね。」

サクシンでは品質マネジメントシステムの国際基準である「ISO9001:2015」を取得し、工事全体における品質システム管理に努めています。

サクシンは大人数の会社ではないぶん、上谷内さんをはじめ社員同士のコミュニケーションは自然と密になるそうです。
大変さやプレッシャーをカバーするためにも、お互いに現場の状況を確認しあうといいます。

一方、会社が受け持つ現場では、自社の社員だけではなく下請け会社の社員などさまざまな人と仕事をすることがあるそう。上谷内さんは「その人たちとの和を大切にしながら、仕事をしなければならないと思います」と、現場におけるチームワークやコミュニケーションの大切さを実感していることを話してくれました。

「効率」から「人」へ — 時代とともに変わりゆく、社内での取り組みや意識とは。

上谷内さんのお話から、サクシンでは仕事において「作業効率」よりも「人」を大切にする心が伝わってきます。
サクシンでも一昔前は「厳しさ」があったといいますが、社内だけではなく建設業界全体として「人」に対する意識は変わっているそうです。
上谷内さんも「人があっての企業」と捉えたうえで、「意識の変化」を次のように考えています。

「建設業で働きたい人が多くいたら、厳しい環境にもなるかもしれません。ですが、いまは人手不足です。需要と供給のバランスが取れていなければ『人を大切にしなきゃ』という意識を持つことは重要だと思います。私はいま働いている人たちが、幸せになれたらいいなと思いますね。」

社員一人一人に意識を向けたことによる取り組みは、着実に働き方へ反映されています。
その一つに「作業着」にまつわるエピソードがありました。

「2019年ごろから、社員が普段着用する作業着の指定をなくし、各自で好きなものを選べるようにしました。僕ら経営者がトップダウンで指示するような時代でもないですしね。特に新入社員については、何を着るかお任せしています。特に夏場は暑いので『窮屈な服を着て仕事するより、楽に着たらいいじゃないか』という思いはあります。」

社員一人一人に寄り添う取り組みは、仕事の領域を超えて「誕生日」というプライベートな側面にも行われているといいます。

「2020年ごろから、社員の誕生日にケーキをプレゼントしはじめました。そのきっかけは、他の会社で奥さんの誕生日に花を贈ると言う話を聞いたことにあったんです。『それなら当社はケーキを贈ろう』という発想のもとはじめました。年末年始には、お米を渡したこともありましたね。いずれも会社で食べるのではなく、自宅へ持ち帰って、家族と食べられるようにしています。」

働き方における取り組みを行ったことで、北海道内で働き方改革に取り組む企業を評価する「北海道働き方改革推進企業 シルバー認定」を受けました。ほかにも、男女ともに育児や介護と仕事を両立できる環境づくりがなされている企業である証「北海道あったかファミリー応援企業」にも認定されています。

働き方、作業環境ともに急激な進歩が進む建設業界。
働き方では作業効率よりも一人一人に意識を向けた取り組みが、作業環境ではICT機器や情報化制度を活用した新しい時代の潮流が生まれています。

上谷内さんは新しい時代に仲間を募るにあたって、一つの想いを語ってくれました。

「やる気のある人と働きたいですね。私たちとしては、入社後に『蓋を開けたら話と違った』ということが起きてはいけないと思っています。なので、つつみ隠さずに、ありのままをお見せしたいと思っています。」

しっかりと整頓されたオフィスや建設業という業種からは想像できないほど、あくまでも「人」を大切に、柔軟に社員へ寄り添うサクシン。
エンジニアとしてのプロ意識を感じる上谷内さんの口調に、こちらも背筋が伸びる取材でした。

私たちが想像している以上に、建設業の現場は日々変化していることを学ぶことができました。
業務内容だけではなく、働き方にも想いがこもった会社に勤めたい。そんな方にぜひ注目していただきたい企業です。

INFORMATION

株式会社サクシン

創業以来、地域に愛され必要とされる企業を目指し、土木工事業・事業系ごみ収集運搬業・資源ごみ収集運搬業を行っています。

https://tsutsuuraura.jp/worker/archive/537/

https://sucsin.jp

この記事を書いた人

この記事を書いた人 新谷有希

新谷有希

人の話を聞いて、新たな学びを得ることが好き。いまのマイプロジェクトは「興味のあることを掛け合わせながら、道東・道北としなやかにつながる」こと。地域に根ざした取材ライターとしての活動は、どう続けられるのか。デンマークにある人生の学校「フォルケホイスコーレ」を日本でどう広げていくのか、色んな人たちと探究中。

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