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暮らす人 2023.08.25 Update

子ども思いの大人がいる地元で、林業に携わる田野拡さん

はじめまして。ドット道東のインターン生の藤田・川内です!
今回、「浦幌町ってどんな町?」というテーマで、浦幌町の方にインタビューを敢行しました。

私たちは北村林業で働く田野さんにインタビューを実施。
「地元で働きたいけど、不安でモヤモヤする……」と思っている学生の方に、是非読んでいただきたいです!

「生まれも育ちも浦幌町。この町はすべてが綺麗なんです。」

そう語るのは、地元で働くことに決め、現在北村林業株式会社造林部で働く田野拡(たのひろむ)さん。
「思い出の場所でお話をお聞きしたいです!」とお願いしたところ、町の中心部にある「十勝うらほろ樂舎」の建物前に連れて行ってくれました。

田野拡(たのひろむ)さん
2000年生まれ。浦幌町上浦幌地区出身。学生時代は本別高校に通いながら「浦幌部」に所属し、浦幌町で幅広年齢層の方々と交流できる機会を仲間たちと創出する活動を行った。現在は北村林業株式会社造林部に勤める。

※浦幌部とは?:町外に進学する浦幌町の高校生を対象にした学生自主団体。町内の高校が廃校になったことから発足された。商品を開発し、町内でイベントを企画したりと「まちづくり」活動を行う。

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ー本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、本日連れてきていただいたのは「十勝うらほろ樂舎」ですが、なぜここに……?

現在、浦幌町には高校がないんです。そんな環境なので、小中学校と一緒に過ごした友人たちと高校進学のときに離れ離れになってしまいました。
そこで浦幌町の中学校を卒業した同級生で「高校へ行っても、またみんなで集まれるように」と浦幌町の大人の皆さんが立ち上げてくれたのが「浦幌部」です。
僕も浦幌部に所属していて、そのメインとなる活動場所が十勝うらほろ樂舎だったんです。
僕が浦幌部として町に関わりはじめた、いわば始まりの場所ですね。

ー「浦幌部」、素敵な取り組みですね!幼少期から浦幌町で過ごし、高校時代も浦幌町に深く関わっていた田野さんですが、浦幌町に関する記憶はありますか?

中学生の頃くらいまでは、よく父と一緒に家の前の山を散歩していました。散歩する中で植物や樹のこと、野生動物のことを知るようになっていきましたね。
そんな記憶もあって、いまも自然豊かな環境が好きなんです。

―家の前に山……浦幌町ならではのエピソードですね……!
田野さんは本別高校に通いながら、浦幌町の学生自主団体「浦幌部」でも活動されていたとのこと。何か思い出はありますか?

浦幌部のみんなで十勝うらほろ樂舎に集まって話し合いをしているときが一番楽しかったですね。
「これをやろう!」「あれもやろう!」と、アイデアを出し合う時間が思い出深いです。
イベント前なんかは特に、熱い議論が繰り広げられて楽しかったです。
浦幌町のイベントに、高校生がメインとなって出店したこともありました。

―田野さんは高校卒業後、北村林業に就職されています。林業という職を選ばれた理由は何だったのでしょうか。

高校時代から浦幌町で働こうとは決めていたのですが、職種についてははっきりとは決めていなかったんですね。
林業という選択肢を考えるようになったのは、高校の授業で職業について調べる時間があり、そこで林業について調べるうちに業界の課題を知ったことがきっかけでした。
林業は業界全体として、人手不足が本当に課題です。そのことを知って、自分でも何かできないかと直感的に思ったんです。
自分が何か力になれればと思い、素直に林業を選択しました。元々自然が好きだったことも大きな理由ですね。


植林ツアー時に体験者と交流する田野さん

ーそうだったんですね!いくつか林業会社がある中で、北村林業に就職したきっかけはなんだったんですか?

実は、高校時代にすでに北村林業の北村社長にお会いしていたんです。「浦幌部」の活動の中でお世話になったことがきっかけでした。
なので、自分の中では林業の道に進むなら北村林業に就職するというのは自然なことだったのかもしれません。

―そんな出会いがあったんですね。現在勤めて5年目の田野さんですが、現在の仕事内容を教えていただけますか?

現在は造林部に所属しています。
北村産業は主に、「造林部」と「造材部」の2種類の部署があります。
僕が所属している造林部では、仕事の内容は年間通して大体同じなのですが、春頃に「植え付け」という作業を行います。

30センチぐらいの苗木をどんどん山に植えつけていくんですね。夏になると雑草も生えてくるので、植えた苗木の周りを刈るんです、雑草に栄養が取られないように整備してあげるんですよ。
また、木を倒した後には枝や葉が落ちたりと散らかっているので、それを綺麗にするという仕事も行っています。

ー「木を切り、切り出した木材を運ぶ」というサイクルを行っているのだと思っていたんですが、それだけじゃないんですね。

そうですね。冬の作業は雪が多く、難航するので大変なんです。
遠いところだと白糠町や大樹町まで行くこともありますよ。担当する現場は20〜30くらいあります。
体力勝負の仕事だったり危険な部分もありますが、現場から綺麗な景色が見えることもあり、飽きないなと思いますね。
高い場所に行くこともあるので、水平線が広がっているのを見ることもできます。

これ、早朝の現場で撮った写真なんですけど。

―わあ!山での景色、圧巻ですね……!お仕事をしている中で、特に好きな作業はありますか?

やっぱり楽しいのはブルドーザーでの作業ですかね。僕、機械作業も好きなんですよ。
視界は結構高く、斜面に立つので怖いこともありますが、5年目なので慣れてきました。

ありがとうございます!幼少期の記憶、高校時代の浦幌部での活動、そして現在の林業というお仕事と、浦幌町ならではの経験や思い出がたくさんの田野さんですが、浦幌町の好きなところを教えていただきたいです。

自然が豊かなところももちろんですが、星が綺麗なところですね。
それから、自分自身の浦幌部の活動でも感じていたことなのですが、「子ども思いの大人が多い」ところが良いと思っています。

浦幌町には、「子供の想いを実現ワークショップ」というイベントがあるんです。
自分も大人として参加しているのですが、20代から50代の幅広い年齢の大人たちが、「子どもたちに対して、何かできることないかな」「子どもの夢を本当に実現させたいな」と意見を出し合っているんです。
そういう場面が何度もあるので、「子ども思いの大人が多い」町だなと思いますし、そういった文化や雰囲気に自分も育ててもらっていたんだなと感じます。
「子供の想いを実現ワークショップ」では、自分の後輩の代が考えた音楽フェスティバルが実現したんですよ。世代関係なくメンバーで協力して叶ったことなので、印象深いですね。

ー他の方々からも、浦幌町には子どものことを考える大人が多いというお話を聞いていたので、ますます興味が湧きました。これからの田野さんの夢や理想はありますか?

僕自身は常に好きなことをして生きているので夢はないのですが(笑)、やりたいことはたくさんあります。
電車で遠くに行くとか、パソコンを自作してみるとか……。
浦幌町に関しては、ちょっと変な言い方ですが、「今の状態」が、このまま続いてほしいと思っています。浦幌町の外から関わってくれている人もいるし、住んでいる人たちも、僕を含め浦幌町を盛り上げていこうとしているんですよ。
こういうポジティブな雰囲気が続いてほしいなって強く思いますね。
僕も「子供の想いを実現ワークショップ」の会議など町のイベントに参加するのが楽しみになっています。

田野さん、素敵なお話ありがとうございました!

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「地元で働きたいけれど、本当に戻って良いのだろうか?」

取材前、私たちの中にはこんなモヤモヤが浮かんでいました。仕事以外のことだけでなく、日々の生活や娯楽についても不安が付き纏っていたのですが、田野さんへのインタビューを通してそんな心が晴れるような気がしました。

この記事を読んでくださった方々の地方で働くことへの考え方が、少しでも変わると嬉しいと思います。

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