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暮らす人 2025.01.10 Update

【暮らす人】浦幌は縁と共感で仲間が増えていく町 佐藤彩羽さん

はじめまして。釧路市在住の崎一馬です。

北海道の東側、道東エリアの主要都市である「釧路市」と「帯広市」のちょうど中間に位置する町・浦幌町に来ています。人口は約4100人。南北縦に広く面積は東京23区よりも遥かに大きいこの町にご縁があって5日間滞在させていただくことになりました。

浦幌には友人や仲良くしていただいている方が何人かいることもあり、北海道のなかでも足を運んだ回数トップ5に入るほど何度も訪れている町。

ゲストハウスができたり、新しいお店が連続して開業したり、90年続くお店を地元の20代が継いだりと、若者が増え、新しいムーブメントが起き続けている場所。浦幌町にはそんな印象を持っています。

浦幌町には何度か来たことがあるとはいえ、住んでいる釧路市もそこまで遠くないということもあり、2日以上の長期滞在はしたことはありませんでした。「5日間の滞在だからこそ会える人や体験を」ということで今回は2023年の春に浦幌町に移住をしてきた同い年、そして同じ関西出身の佐藤 彩羽さんにインタビュー。

今回はその様子をお届けします。

縁と共感で仲間が増えていく町

「え! 関西! どこですか? 私、兵庫です!」

「え! 同い年! 96年!」

インタビューはいつも緊張する。うまく言葉を引き出せるかな……そもそも話が盛り上がるかな..….。そんな漠然とした不安は彼女と名刺交換をしてものの3分で消えた。

彼女は佐藤 彩羽さん。町の人からは「はねちゃん」と呼ばれている同じ関西生まれの28歳。2023年に浦幌町に移住をしてきたそうだ。聞くと、浦幌との出会いは縁、もはや運命さえも感じる物語があった。

「浦幌には実は来たことがあったんです。って、来たことがあったって言っていいのかわからないけど……(笑)。学生の時に北海道旅行をしたんです。鉄道で移動してて、たまたま浦幌駅で20分くらい停車して。その時に”こんな町があるんだ〜”ってちょっとだけ乗ってた列車を降りたのが最初の浦幌との出会いです」

「一瞬、列車から外に出ただけ。だから町の様子などは当時は見ないまま。それが私と浦幌の最初の出会いでした。」

「そこから浦幌に来ることもなく、そのまま就活の時期へ。自分は『国際交流』に興味があったんです。学生時代も休学してインドネシアの高校生に日本語を教える先生、日本語パートナーズとして7か月程ジャカルタに滞在したこともありました。ただ、就活を始めた時は”コロナ”の真っ只中。国際交流なんてできない時代でした」

「国際交流以外に自分が興味あるものってなんだろう?って考えた時に地方創生もいいなって。学生時代のフィールドワークで地方に滞在した経験から自然とそう思いました。そしたらたまたま登録してたオファー型の求人サイトからオファーがあったんです。開いてみたら『十勝うらほろ樂舎』からでした」

「それで、体験という形で2回目の浦幌に来て。駅を降りてはじめて、この景色に見覚えがあるな、もしかしてここ学生時代にきたことある場所かも、と気付きました」

運命すら感じる浦幌との出会い。
とはいえ、引越しして暮らすという決断にまで至る理由はなんだったのだろうか。

「全然、その場で決め切ったわけじゃないんです。ただ、たまたまお話しした当時の地域おこし協力隊の方に『なんで北海道の浦幌に協力隊で来たんですか?』って聞いたら、『なんとなく面白そうだったから』『楽しそうだったから』って言ってたんですよね」

「それを聞いて、”もっと気軽な気持ちで移住を決めるのもありなんだ”っていい意味でギャップを感じて。身軽に飛び込むのもいいなって思えたんです。しかも関西から北海道に行くってなったら面白がられるじゃないですか、経験あるでしょ?(笑)やっぱり見知らぬ地へ一人で行くことに対して躊躇もしたんですけど、最終的には『まずは1年頑張ってみよう』という気持ちで、浦幌に来ることにしました」

身軽な気持ちで移住を決めた同世代の移住者の話に面白みを感じて自分も浦幌で挑戦してみることに決めた佐藤さん。飛び込んだ浦幌町での仕事でも運命的な出会いが起こることに。

「今は浦幌町のふるさと納税委託業務のほかに、マリ共和国と浦幌町の国際交流事業に携わっています。まさかの浦幌町で国際交流に関われているんです」

「2023年にJICAの研修でマリ共和国の地方行政官の方々が浦幌のまちづくりを学びに来町することになったんです。有難いことに、その業務の浦幌での受け入れを今の会社で担当させていただくことになりました。会社では『私、国際交流に興味があるんです』ってずっと話はしていたので、じゃあ担当してみるか?って声をかけてくれたんです」

「今でもマリとの交流事業は続いています。今年の7月にパリ2024オリンピックで『マリvs日本』の試合があったんですけど、マリの現地とオンラインで繋いでパブリックビューイングイベントを行いました。早朝からたくさんの方に集まっていただけて嬉しかったですし、めっちゃ楽しかったですね」

コロナで実現できなかった「国際交流」という仕事が、移住した浦幌で実現。こういうのやりたい!って発言していたことが形になっていくこの町に楽しさを感じているそうだ。

「浦幌って町の人たちが積極的でサークルとか自主活動がすごく多いんです。小さなイベントが毎週被ったりするほど。それがすごくいいなって最近感じています」

「わたしも、勝手に『浦幌軽音部』と名乗って、昨年から農家さんのプレハブを拠点にして自主活動をはじめちゃいました。発端は浦幌で毎年開催されている『うらフェス』への出演ですね。浦幌では毎年中学3年生が地域活性化案を考えて町に提案しているですけど、その案の一つが”音楽フェスをやりたい!”だったんです。それを大人たちが『うらフェス』という形で実現させて、継続的に開催していました」

「もともと音楽活動には興味があったので、挑戦してみたいなとは常々思ってました。そんな時に偶然夜オフィスに居合わせた農家さんが学生時代にバンドを組んでいたり、一緒に仕事で関わっている方が元プロミュージシャンだったりして『これは機が熟しすぎているのでは? バンド結成するしかないんじゃないか!?』と思い立って……その場(夜22時のオフィス)で声をかけて急にバンドが発足しました。うらフェスには同じ町営住宅の3号棟の2、3、4号室に住んでいる友人と農家さん2人の5人で『3号棟とSYR』という名前で出演しました。それがきっかけで浦幌軽音部を(勝手に)作り、今2年目でメンバーが11人になりました(笑)」

「こういうのやりたいです!とかやりましょうよ!と言った時に応援してくれたり、ジョインしてくれたりする人が多いのは嬉しいですし、暮らしていて楽しいです。

バンド活動も、いいねと参画してくれる町の方や、特に元バンドマンの農家さんの協力なしには出来なかったです。暮らしている中で町の方に助けてもらうことが多くて、本当に感謝しています」

そんな浦幌町でバンド活動も含めて今後もっとやってみたいことがあるという。

「バンド活動は今後ワンマンライブとかしたいね〜ってみんなで言ってます(笑)。公民館だけじゃなくて、留真温泉とかここ(トリノメ商店)でやってみたり色々構想が膨らんでいます。自分でいくつか詩を書いてみたりもしてるので、いつかオリジナルソングでライブもしたいです」

「あと他にも、実は、最近シェアハウスを始めたんです。現在は同世代メンバー3人と住んでいるんですけど、その建物の1階が元店舗スペースで今使われてないんですよね。そこを町の人たちとかいろんな人たちがフラッと立ち寄れる場所というか。町に還元できるような場所にしていきたいとか、いろいろ妄想が膨らんでいます」

最後に、佐藤さんにとって浦幌とはどういう場所かを聞いてみた。

「んー……うまく言えないけど『いい思い出もほろ苦い思い出も詰まってる町』ですかね」

少し悩みながらもそう答えてくれた。

「浦幌に来て本当に最初のころは何もかも初めてということもあって慣れない、馴染めないと感じていた期間があったんです。関西にしか友達もいなくてよく関西に帰ってたりもしていました」

「塞ぎ込んでいる時期も結構あったんですけど、このままではだめだと思って、去年の秋以降は前向きにいろいろ頑張ってみようと行動し始めました。北海道中の色んな場所をドライブしたり、スポーツサークルに参加したり、ジムに通ってみたりもしました。バンドを始めたのも、その流れの中で自然に行動できたことかな、と思います。

仕事では国際交流のほかに料理教室のアシスタントなども担当していたこともあって、普段は接することのない町民の方とプライベートの話をする機会もありました。そうやって活動していくうちに横のつながりが一気に広がったと思います。去年の秋以降から色んな方との関わりが増えたこともあって、自然と浦幌での生活を楽しめている自分がいることに気付きました」

運命的な縁が繋がって浦幌に移住。

今では同世代とシェアハウスで楽しく過ごしながら、町で新しい活動を発足させ、町と国境を繋ぐ夢だった国際交流までも進めている。

「やりましょう! やりたい!」という佐藤さんの巻き込み力と、町内の「いいね! 一緒にやろう!」という共感が融合して大きな一歩が生まれていく。

来年はどんな新しい一歩が生まれているのだろうか。

とても楽しみだ。

この記事を書いた人

この記事を書いた人﨑一馬

﨑一馬

1996年大阪府出身
2021年に釧路市へ移住。同年よりカメラマンとして釧路・道東を拠点に活動をスタート。HP用素材・Web記事素材の撮影のほか家族・記念写真撮影を行なっています

年間3万キロ走るほどのドライブ好き
特技は3分で寝れること

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