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滞在記 2022.03.31 Update

【私が出会った浦幌町民(1)】ここで育った同世代とワクワクすることを 〜かし和家 近江幹太さん〜

生まれた場所や土地柄にしばられず、「この場所にずっといたい」と心から思えている人たちが、私はうらやましい。そんな人たちに対するうらやましいという思いは、実は多くの人たちが抱えているものなんじゃないだろうか。生まれ育った町や、住み慣れた町で自分がやりたいと思ったことができなかった、共感してくれる人がいなかった。そうやって夢を諦め、都会に向かった人もたくさんいると思う。そんな私は、「この場所にずっといたい」という思いを素直に表してくれた9人の町民たちに、ここ、浦幌町で出会った。

初めまして。釧路市生まれ釧路市育ちの須藤か志こです。

釧路市から鈍行で1時間半。私は、十勝の入口・浦幌町にやってきました。
浦幌町には5000人のほどの人口が住んでいます。海と山があり、南北縦に長い町。
実は私、恥ずかしながらそれ以上の情報を知らずに浦幌町にたどり着いてしまいました。
海と山があるので、食事は期待できそう。観光コンテンツは何があるのかな……。
そんなことを考えながら、まずは宿に向かいます。

そう、浦幌町には、最近できた新しいゲストハウスがあります。
名前は「ハハハホステル」。リノベーション中から多くの町民を巻き込み、オープン当初から浦幌町民の憩いの場になっているそうなんです。

2021年7月に開業した「ハハハホステル」

そんな「ハハハホステル」での滞在中、私はたくさんの浦幌町民に出会うことになります。
町中で、牧場で、神社で。浦幌町の様々なところで出会った浦幌町民たち。
それぞれにここに住む思いは十人十色ですが、皆に共通しているのは、「浦幌町で暮らしている」という「強い自覚」でした。
ただ漫然と暮らすのではなく、この町に暮らしているからこそ感じられることを。

浦幌町の人々の営みに、少しだけお邪魔させていただきました。

私が出会った浦幌町民】近江幹太さん

「『この町』そのものというか、『この町にいる人』が好きなんですよね」

浦幌町で生まれ育ち、20歳になったばかりの彼からそんな言葉がこぼれたことに驚いた。
彼、近江幹太さんは、浦幌町で94年続く「かし和家」という蕎麦屋を引き継いだ。
先ほどの言葉は、「『かし和家』を継いだのは、浦幌町が好きだからですか?」という質問に対しての答えだった。

「かし和家」で修行中の近江さん

続いて、「なぜ、浦幌町の人が好きなんですか?」と尋ねると、彼は笑顔でこう答えてくれた。

「小学生のときから『うらほろスタイル』という取り組みで、地域の大人から自分の仕事や活動、浦幌町の未来について話を聞く機会がたくさんありました。『この町の未来をこうしていきたい』と語る浦幌町の人たちの姿が好きで。しかも、移住者として町外から来た人も、浦幌町の未来について真剣に考えてくれているところが、他の町にはないところだなと小さいときから感じていました」

「うらほろスタイル」とは、NPO法人うらほろスタイルサポートが推進する、官民協働事業だ。
町内の小中学校と地域が連携し、浦幌町内の子供が地域に対する愛着・誇りを育めるような取り組みを行う。
近江さんは、この「うらほろスタイル」教育を小学生から中学生に至るまで6年間受けてきた。

近江さんの言葉を聞くに、「うらほろスタイル」教育の効果は十分に発揮されているのだと思う。
ただ、「かし和家」の94年という長い歴史を引き継ぐことに、不安はなかったのだろうか。

「かし和家」のそばはあざやかな緑色。コシがあり、つるっとした喉越しが気持ちい

「僕は、この生まれ育った浦幌町の同級生、同世代と一緒にワクワクできる何かをすること、そして次の世代にバトンタッチしていきたいんです」

「そんなことを、よく同級生と語り合っています。それは、先輩方もやってきた、僕たちに見せてくれたこと。僕がいまこの町でやるべきことは、先輩方が積み上げた歴史を引き継ぎつつ、次の世代にも繋げていこうという姿勢を見せることなのかなって、そう思っています」

そう言い切って、少しはにかむ近江さん。
これからも長く続いていくであろう浦幌町の歴史を引き継ぎながらも、新鮮な風を運んでくれる、そんな存在がとても眩しかった。

近江さんの取材を終え、次なる浦幌町民に会いに行く。次は、浦幌町のまちなかにあるハマナス農園での取材だ。
町のシンボルであるハマナスの花を使った化粧品を作っている森健太さん。
どんな話が聞けるのか、今からとても楽しみだ。

この記事を書いた人

この記事を書いた人須藤か志こ

須藤か志こ

釧路市生まれ釧路市育ち。「つつうらうら」では、「ハハハホステル」での滞在中に出会った多くの浦幌民から聞いた、彼らがここに住む理由や魅力をご紹介。

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