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働く人 2022.05.26 Update

地域から「はたらく」を考える ー株式会社リペリエンス 工藤安理沙ー

はじめまして、こんにちは!京都で大学生をやっています、やまもとこまきです。去る2月から1ヶ月の間、浦幌町に滞在していました。

ハハハホステルで開催したイベントの時の写真です。私は写真右。

どういうご縁で京都の学生が浦幌町に?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、初めに少しだけお付き合いいただいて、私が浦幌へ来た理由をお話したいと思います。

元々、縁もゆかりもなかった北海道。
一般社団法人ドット道東」が主導するローカル誌『.doto vol. 2』制作にあたって行われたクラウドファンディングで制作支援という関わり代をみつけ、まだ見ぬ北の地への憧れだけを頼りに飛び込んできました。それが、大学3年目の夏のこと。口すっぱく就活の準備を促されていた時期でした。

「就活」の2文字に、与えられた仕事を事務的にこなしていく味気ない未来のイメージを拭いきれずにいた私は、ドット道東を通して知った「浦幌町」で活き活きとはたらいている人たちの存在にハッとしました。

「はたらくこと=つまらない」と断じてしまうには早計かもしれない。この町の人たちに会ってみたら、この予感は確信に変わる気がする。そんな期待を抱いて浦幌町を訪れたのでした。

今回は、株式会社リペリエンスではたらいている工藤安理沙さんにお話を伺いました。リペリエンスは、ゲストハウス「ハハハホステル」を運営する他、観光ツアーの企画などを行っている会社です。

私も浦幌滞在中はハハハホステルにヘルパーとしてお世話になっていました。町内外から人が出入りするハハハは、いわば浦幌町の玄関口のよう。人と人がつながる出会いの場になっていました。

首都・東京から浦幌町に移り住み、ゲストハウスの運営を行いながら釧路の市民団体「クスろ」やドット道東の活動にも携わっている安理沙さん。移住して1年がたった今、浦幌町で過ごす日々の様子や仕事のやりがいを伺いました。

〈プロフィール〉
1998年生まれ、北海道釧路市出身。大学進学を機に上京し、新卒で東京の保険会社に入社。2021年4月に道東へUターンし、浦幌町へ移住。同年、株式会社リペリエンスに入社。釧路の市民団体「クスろ」のメンバー。

ーーリペリエンスでの安理沙さんのお仕事を、改めて教えてください。

安理沙:リペリエンスも色々な事業をやってるんだけど、私は主に宿泊事業を担当していて、ハハハホステルの運営をしています。仕事内容は主に施設内の清掃、お客さんのチェックイン対応、予約の受付とか。あと、これから宿泊事業に付随してシェアカーを始めようと思っているので、小松さん(株式会社リペリエンス代表)とあれこれやりとりしながら申請の準備をしたりしています。(5月現在シェアカーサービス始動中です!)

ーー安理沙さんは小松さんの右腕みたいな存在ですよね。転職先としてリペリエンスを選ばれたきっかけは何だったのでしょうか?

安理沙:縁とタイミングだなあ。新卒で入った保険会社では生命保険の営業をしていたんだけど、会社の利益をあげるために契約数の目標が設定されていて。正直なところ、保険会社に思い入れがあったわけではなかったから、あと何件、あと何件ってただ数字を追いながら仕事をすることが次第に辛くなっていったんだよね。自分が何のために働いているのか分からなくて。そんなモヤモヤの絶頂期と、小松さんが人を探している時期がマッチしたことがきっかけかな。

ーー東京から地方への移住には不安な点も色々とあったんじゃないかと思います。それでも浦幌町への移住を決めた理由はなんだったんですか?

安理沙:一番の決め手は、浦幌町に住んでいる人の印象がとてもよかったこと。浦幌をはじめ、道東地域で活動している面白い人たちのこともSNSなどを通じて知っていたので、ずっと気になっていて。実は釧路にいた頃は、ほとんど浦幌町に立ち寄ったことはなかったんです。道の駅があるなあって印象くらい。でも、実際に地域の人と話していると、町のこれからに対して思いを持っている人が多い場所だと知って。大人だけじゃなく10代や20代の若い世代にも、地域のこれからに期待してアクションを起こしている人がいる。その活気が魅力的に映って、私もここに居たいと思ったんだよね。

ーー町内外の人が集まるハハハでの仕事は、そんな浦幌町の人たちとも密に関わっていくものですよね。どのようなときにやりがいを感じますか?

安理沙:やりがいかぁ…。やっぱりハハハに来てくれたお客さんや町の人と直接コミュニケーションが取れるところかな。私のことを知ってもらった上で関係性ができていくから、町の一員だって実感が得られるというか。

浦幌町に来たばかりの頃に、『議会だより』という町内の広報誌にご挨拶の記事を載せて頂いたんです。「釧路市出身の工藤です。ハハハで働いています」って。そうしたら、その記事をみた町の方が私に会いに来て下さって。

ーーえ、うれしい。

安理沙:そう、うれしいと思って。新参者のことを気にかけてわざわざ足を運んで下さるってすごいことだと思う。本当にありがたいし、この町で働くモチベーションになっていますね。

ーー数字じゃなく、顔がみえる相手との関わりのなかではたらいているからこそのやりがいですね。最後に、安理沙さんのこれからのビジョンを教えてください。

安理沙:それ、お客さんにもよく聞かれる。(笑)以前、ハハハのヘルパーとして浦幌町に滞在してくれた子達が「この町は余白があるよね」と口にしていて。それはつまり、今はまだ町にはないものが入り込む隙があるってことだと思う。私はピアス作りとか編み物をするのが趣味なので、いつか町内で販売してみたいな。

あと、私がこの町で楽しく過ごしている様子を見て、地方の小さな町での生活を楽しんでくれる人が増えたらいいなと思っています。

私の周りにも地元に対してあまりいいイメージを持っていない友達がいるんだけど、私がハハハで働いていることを知って遊びに来てくれて「浦幌いいね、楽しそうだね」って言ってくれたんです。そんな風に、この町で生活する楽しさを知ってもらう機会を増やしていけたら、私はもちろん友達にとってもハッピーなことなんじゃないかと思って。そういうはたらきかけをもっとやっていきたいですね。

ーー安理沙さんが浦幌町から地方で生活する楽しさを発信することで、自分の地元には何もないと思っている人たちが地元のことを顧みるきっかけが生まれたらとても素敵だなと思います。ありがとうございました!

滞在中、ハハハで開催された「本屋つむじかぜinハハハホステル」には、老若男女とわず本当にたくさんの町の方々が足を運んでくださいました。ありささんのお話にあったような「浦幌町の活気」を私も目の当たりにできたような気がします。

「はたらく」とは、まず周りを見渡して、今ここで自分には何ができるだろうと考えて動くこと。味の感じない数字を相手にするのではなく、町の未来をおもいながら考えを巡らせる人たちと面と向かって話をする中で、仕事を見出していくはたらき方がある。

つまらないなんてとんでもない、浦幌での出会いに私自身も奮い立たせられながら、大きな気付きと刺激をもらった浦幌滞在でした。

就活が落ち着いたら、またすぐに遊びに行きます!

この記事を書いた人

この記事を書いた人山本 小蒔

山本 小蒔

三重県出身、京都在住の21歳。大学では、アートをはじめとするモノやコトを媒介にしたコミュニケーションの促進について学んでいます。2022年2月から約ひと月のあいだ浦幌町に滞在していました。浦幌町のイチオシスポットは町立博物館!毛の端々まで間近で観察できる、生き物たちの剥製が圧巻です。

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