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イベント 2024.02.12 Update

【参加者レポート】秋の一次産業ツアーに参加しました 前編

こんにちは。11月3日-5日に開催された一次産業体験ツアーに参加しました、ちょっと前に20代後半に入った道外出身で札幌在住の女子大学院生です。

しゃっこいフェスで出店したことも

大学での研究フィールドは農業・農村・地域にあって、卒業論文を浦幌町で書かせていただいたことがきっかけで浦幌町にはこれまで調査や仕事関係で何度も来ていました。地域について勉強するひとりの学生としても、浦幌町とかかわりのあるひとりの若者としても、たくさんの方にあたたかく接していただき、いつの間にか私にとって浦幌町は大事な場所のひとつになりました。その一方で、訪れるたびにどんどん進化していく浦幌町に対して、どこか敷居が高く感じるようになっていました。「もっとフラットな視点で浦幌町のことを見てみたい。もっと、浦幌町での仕事と日常が知りたい。」そう思っていたところにちょうど今回の一次産業体験ツアーがはまって、「行こう!」と思って参加しました。

昨年はゼミのメンバーで浦幌木炭の体験をしました

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いつもと違う目的での滞在は、ちょっと新鮮でうきうきします。1日目の夜はツアー企画者の風子さんの進行で色んな切り口から自分のことについてよく考え言葉にしたり、ほかの参加者と一緒になって話し合ったりするキャリアワークショップをやって、体験先の詳しい説明と体験の紹介を聞きました。ワークショップを通じて、ツアーのテーマでもあった「自分を見つめ直す」ためのヒントをいくつも見つけられて、ツアーへの期待も高まりました。

カードを選びながら話すワークショップ

2日目の朝、体験の一か所目は浦幌町にある8軒の林業会社のなかでも一番大きい北村林業です。朝6時頃、市街地の端にある事務所に着くと、明かりのついた事務所内ではすでにデスクに向かって目を光らせながら働く北村社長たちの姿がありました。久しぶりの早起きということもあって少し興奮気味で外で待機していたら、ぞろぞろと従業員の皆さんが車でやって来て事務所前の駐車場はすぐいっぱいになりました。見よう見まねで皆さんの後ろに整列して、ラジオ体操と朝礼を一緒にしているうちに不思議とどこからともなく「仕事人」感が出てきて背筋がピッと伸びました。北村林業では造林と造材の二つの部門に分かれて仕事を進めていて、私たちは造林部門の方たちと一緒に地拵えという春の植林のための準備作業をすることになっていました。朝礼後、部門ごとに軽く打合せをしたあとにいよいよ現場に向かいます。この日は町有林が作業現場で、市街地から車を15分くらい走らせたところで林道に入ったかと思いきや、思っていたよりも奥へいかずに手前のほうで機械が見えてきて車は止まりました。まちから近いと言ってもやっぱり山の中、機械と私たちの車以外で目に見える範囲に人工物は見当たらなく、一面に広がる黒い土がむき出しになった伐採の跡と遠くに見える列を作る紅葉した木々だけが黙々と自然の中に人間の営みを刻み、ここがただの山じゃない、仕事の山だと教えてくれます。

集めた枝を燃やす「火入れ」という作業。

気づけば造林チームの皆さんはすでに目の前の丘の上のほうでそれぞれ刈払機を動かして笹を刈る作業を始めていました。オレンジ色の作業服は斜面を鮮やかに飾り、すぐに見えなくなりました。体験に参加した私たちは資格の関係上、刈払機を持てなかったので、造林部門のリーダーの嘉藤さんから現場のことについていろいろ教わりながら、地拵えでもう一つ大事な仕事である「枯れ枝拾い」と「火入れ」を行いました。もくもくと作業をしていると、足の裏に返って来る土の感触、風に吹かれて笹が葉っぱを鳴らす音、日が高くなってもまだ冷たい風…感覚一つ一つが研ぎ澄まされました。山の中での作業はとにかく気持ちがよく、時間の流れまでも穏やかに感じます。

笹を刈る造林チームの社員さん

それからもう少しして、斜面の下のほうで拾った枝で作った山に火をつけて、みんなで暖を取りながら休憩を取りました。ぼーっと作業した場所を見つめて、山の表情が朝来た時に比べてだいぶ整った顔になった気がしましたが、周りが広すぎるせいで何も変わってないようにも見えました。それでも、伐採後の木の根っこと隣の区画にたたずむ若木を見ていれば、そこにはもうない伐採され運び出された木と春になれば一面を埋まるであろう苗木の姿までが頭に浮かびました。造林の「仕事」にほんの少しの時間しか関われなかったけれど、大げさにも山や木と向き合うような時間になってくれたような気がしました。それは翌日3日目のデイリー・ブルーダーさんでの酪農体験でも、似たような感覚がありました。

〜後編へ続く〜

INFORMATION

北村林業株式会社

50年、100年先も必要とされる企業であることを理念に、林業・木質チップ製造業を行っています。正社員の求人をはじめ、林業の業界が気になる方へ向けた就労体験の受入を行っています。

https://tsutsuuraura.jp/worker/archive/167/

この記事を書いた人

この記事を書いた人李 澍(り しゅ)

李 澍(り しゅ)

浦幌滞在中いつもこっそり楽しみにしていること、会計するときに「ハマナスカードお持ちですか?」と聞かれること。ハマナスカードはまだ持っていませんが、浦幌をいつも近くに感じている北海道8年目札幌在住の大学院生。

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