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働く人 2023.06.03 Update

【働く人】株式会社浦幌木炭 森泰文さん

浦幌木炭・代表背古円さんに誘われ炭作りを一緒に学び始めた森泰文さん。
炭作りをやってみようと決めた理由や、本業を続けながら携わっている思いについて伺いました。

森泰文プロフィール
帯広市在住。出張専門(はり治療)『はり灸 癒しの森』として鍼灸師をやっているほか、ジュガインストラクターを務める。2022年より(株)浦幌木炭に炭焼き職人として関わっている。

ちょっとやってもいいかな、で始めた浦幌木炭

ーまずは浦幌木炭に関わり始めた経緯を教えてください。

「特に次の仕事について考えていない時だったんですが、代表の背古円さんから急にお誘いの連絡があったんです。2022年1月、大雪が降った日があったんですよ。ちょうど浦幌木炭では炭窯の火入れのタイミングと重なっていて、円さんが炭窯に行ったところ雪がすごくて帰れなくなったようで。小屋で一晩過ごしながらぼんやりと考え事をしていた時に円さんがハッと閃いて、俺の顔が浮かんだらしいんですよね。それが始まりでした。」

ー以前から円さんをご存知だったんですね。

「元々、円さんとは知り合いだったんです。昔、妻が浦幌町瀬多来で自然農園という形で養鶏をしていたんですよ。自然栽培の野菜と平飼いの鶏をやっていて。うちの一番上の子と円さんの長女が同級生だったので小学校2年生くらいまで一緒だったんですよね。その後、俺と再婚することになって帯広に引っ越すことになったので転校したんですけど。結構、妻と円さんが仲良しで、宮司にもお世話になっていて。そのつながりで俺も面識があった。顔見知り程度ですが」

「それで大雪の日のあとに円さんからメッセージが来て『炭焼き職人、興味ありませんか』って唐突に(笑)。誘われた時は『そもそもそれはなんぞや?』と思いました(笑)。馴染みがなかったので」

ー突然だったんですね(笑)!

「そうなんです(笑)。『じゃあとりあえず何回か体験に行ってもいいですか』とお返事しました。

冬、窯入れ作業を行う

それで2022年2月くらいから何度か体験をし、とりあえずそんなに嫌な仕事でもないから、まぁちょっとやってみてもいいかなと感じました。そういう経緯でやり始めて今に至ります」

ー関わるようになってどのように感じていますか。

「木炭を作る上で一番大事なことは、入れた火を止めるタイミングなんですよね。木の状態を見て、湿度・気温・窯の暖まり方冷え方とかによって火の止めるタイミングを決めるっていうのが職人の勘所だということがわかってきた感じかな」

ー職人の勘所…。

「夏だとそんなに冷めないし、冬だと結構すぐ冷めてしまう。時には木も凍ってたりとか。材料にする木が古かったりすると出来上がったとき柔らかかったり、欠けやすかったり。切り立てのいい木だとしっかりしたのができたり。段々と、出来上がり具合の良し悪しがなんとなくわかってきたかな。なんていうか…やらないとわからないよね(笑)。職人の佐藤さんも13年やって本当にいいのができたの1回くらいだって言っていた」

火入れ口

「炭作りがすごく面白いかと言われるとそうでもないんだけど、嫌でもないかなぁと。だから極端にハマってるというわけでもないんです。例えばこの先他にやりたい人がいるならその時はこの仕事を譲ってもいいかなぁと思いながらやっています」

技術を繋いでいきたいという気持ちに共感

ー意外でした! 「炭作り」にものすごくのめり込んでハマったわけではないんですね。

「そうなんです(笑)。俺の経験上、やり始めの熱量が高すぎると、なんか違ったなと思った時に辞めづらいと思うんだよね。スタートから『まぁとりあえずやるか』くらいの方が長く続くような感じがするかな。肩の力が入りすぎると最初の段階で燃え尽きちゃうかもしれないから、程々の距離感でやっております(笑)」

「浦幌木炭はいろんな人が手伝いに来てくれるから、一人で全部背負わなければならないわけでもないし、そこがちょうどいいかな。浦幌木炭の仕事は機械化できないからその分人手も必要。だからこそいろんな人がたくさん出入りしてくれることが助かってます。俺はひと通り炭を焼く技術を身につけようとは思ってるけど、他にも学びたい人がいるなら一緒に学んでもいいと思うし。何人かやれる人が増えていけば仮に俺ができない状況になっても困らずに済む。技術を繋いでいけたらいいのかなと」

「100年くらい続いてる炭焼きを途絶えさせたくないと思っている佐藤さんや背古さんの気持ちもわかるから俺も手伝うし、だからと言って俺が全部背負っていくつもりもない。今は繋いでいく気持ちで、佐藤さんが培ったものをある程度できるようになりつつ、次に渡していきたいと思っているんだよね」

「一生懸命やらなきゃ、と若い頃は思ってたけど、段々といい力の抜き具合というかが身についてきた。抜くとこ抜きつつやるところをやって、メリハリつけた方がいい仕事ができるなというのがわかったんだよね。頑張りすぎるのは大変なのよ、途中で折れるから。力を抜いて入れての繰り返しが大事なんだと思う」

窯出し作業の様子

本業とのバランスの取り方

ー本業は鍼灸をされているんですよね。

「はい。出張の鍼灸師をしています。あとはジュガっていう体操も教えているんだけど、…正直ジュガはこの先続けるかはどうしようかと思っているんですよね(笑)」

浦幌町内のイベントで鍼灸を行う森さん photo by Atsuya Tasaki

「俺は興味関心が多い方だから、いろいろなことに興味を持ったらやってみるんだけど、とりあえず一回やったら気が済むじゃない? そんな中でずっと気になっていて長く続くことが本当に自分の興味のあることだなと思っていて。今の本業である鍼灸は結果10年以上やってるし、その他にも合気道が好きでそれは学生時代からやっていて、最近もまたやっている。あとは太鼓も結構好きでさ。この三つは俺の人生から外してはいけない感じがしている。すごく熱中してるわけではないんだけど、ずっと長く細くやってて、飽きやすい俺の性格とは反して続いているからきっと本当に好きなんだと思う」

「だから興味を持ったらまずは体験してみて、気が済んだら次に行ってみるのがいい気がするな。どんどんいろいろなことをやってるうちにそれでも残って続いていくものがあるし、一回冷めてもまた戻ってくる波があって。それがきっとその人の本当に興味があることなんじゃないかな」

「そういう意味で、鍼は割と続いている方です。仕事としても面白いと思って続けている。鍼をやりつつ、炭をやりつつ、まぁそんな感じです」

ーまずは試して、体験しながら自分に合うものを探していく。

「そうそう。なんかこう……色々あるじゃん、働いているうちってさ。人間関係だったり家族だったり。いろいろあるけど、いろいろな場所に行って、いろいろな人に会ったりして、いろいろなことをやってるうちに経験が重なって、これが好きとかこれは無理だとかっていうことがだんだんわかってくる。そんな中で嫌いなことをやり続けるってすごくエネルギー消費が激しいことに気づく。だから極力楽しいことやワクワクすることにエネルギーと時間を使いたいと思うようになったかな。やりたくないことをやらないといけない時は極力省エネに(笑)」

ーそんな中で浦幌木炭もやってみようと思ったんですね。

「炭作りは本当に縁でやることになったから、今はそういう時期だと思ってやっているんだよね」

「経験を無駄にするか、やってよかったとなるかは自分の意識や考え方次第だから。話が来たのでやってみます、やってみてもし合わなかったならそこでやめます、でいいと思う。無理して嫌だなとか思いながら続けるより違和感があった時点でやめる方がいい。自分がいなきゃどうにもならないって思ってるのはおそらく錯覚で(笑)、いなかったらいなかったでなんだかんだ回るものだからね。『もう無理です!』ってなるならやめてもいいし、あんまり背負いすぎなくていいかなと思う」

炭窯を修復するための素材を準備する森さんたち

副業として「炭焼き職人」をやりたい人を募集します

ー副業として炭作りをやっているのもそこのバランスがあるからなんですね。

「そうだね。今の炭の仕事も、本業があってのことだったし。『事前に来れる時は来るけど(鍼灸の予約が入っていたら)来れないこともありますよ』と円さんには伝えています。お互いそこがわかっているので気楽な感じでやれていますね。副業として木炭作りに関わるという方法はおすすめします」

左から代表の背古さん、森さん、先代の佐藤さん

ー今回、森さんと同じような副業という形で、浦幌木炭に関わってくれる「炭焼き職人」を募集とのことですが、どんな人に来てほしいですか。

「100年くらい続いてる炭焼きを途絶えさせたくないと思っている佐藤さんや背古さんの気持ちに共感する人ですかね。と言ってものめり込みすぎて周りが見えなくなっちゃうよりも、抜くとこ抜きつつやるところをやって、メリハリをつけながらちょうどいいバランスで一緒に働けたら嬉しいです。興味があればまずは一度体験にきてみてください」

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