生まれた場所や土地柄にしばられず、「この場所にずっといたい」と心から思えている人たちが、私はうらやましい。そんな人たちに対するうらやましいという思いは、実は多くの人たちが抱えているものなんじゃないだろうか。生まれ育った町や、住み慣れた町で自分がやりたいと思ったことができなかった、共感してくれる人がいなかった。そうやって夢を諦め、都会に向かった人もたくさんいると思う。そんな私は、「この場所にずっといたい」という思いを素直に表してくれた9人の町民たちに、ここ、浦幌町で出会った。
こんにちは、須藤か志こです。前回の記事で、20歳になったばかりで浦幌町の老舗蕎麦屋さんを引き継いだ、近江幹太さんと出会ったその足で、次に向かったのは、こちらも20代で浦幌町で起業したという森健太さんの元だ。
「うらほろスタイル」という町の子どもと大人を巻き込んだ取り組みに興味を持ち、大学卒業後すぐに地域おこし協力隊として赴任した森健太さん。なんと移住後、2年目の2017年に、浦幌町の花であるハマナスを使ったオーガニックコスメブランドrosa rugosaを立ち上げた。
rosa rugosaの化粧品は、まちなかにある農園で収穫されたハマナスの蒸留水を利用している。約1haの敷地に広がる浦幌町の花であるハマナスについて、「収穫を迎える夏は、地域住民の方と4、5人体制で作業しています」と楽しそうに話す森さん。共に働く地域の方からは、「こういう形で人と関わり、身体を動かして賃金までもらえるのが嬉しい」という感謝の言葉をもらっているそうだ。
「『地元のみなさんと一緒に』ということを大切にしていきたいです。子どもたちは、いつか浦幌町を離れるときが来るかもしれない。でもこの町で頑張っている大人の姿を見せることが、いつか帰って来る理由になるかもしれませんしね」
森さんには次なる目標がある。
「浦幌町に帰ってきたいと思ったときに、rosa rugosaのプロジェクトで彼らの雇用を生むことができていたらいいなと考えています。デザインやPRを学んだ子が販売促進のためのパンフレットを作ってくれたり、コミュニケーションに自信のある子が営業を担当してくれたり。そんな未来を見せることができるように頑張っています。」
子どもたちに未来を見せる、私にはまだ想像ができなかった。浦幌町で暮らしているとそんな視点を持つことができるのだろうか。なんだか、浦幌町で暮らす人々は、とても楽しそうだ。
浦幌に来てからまだ2人だというのに、若さと行動力に圧倒されはじめてきた。それだけではなく、次の未来を考えている人がたくさんいることに私の脳内はすでにパンク寸前だ。
でも次の人にも早く会いにいきたい。次は浦幌町で酪農経営をする髙木翔太さんに会いにいくらしい。どんな話が聞けるのか、今からとても楽しみだ。
INFORMATION
株式会社ciokay
ブランド立ち上げの段階から浦幌町民の皆さんでつくった、浦幌町の花「ハマナス」の栽培・管理、ハマナスを使った化粧品「rosa rugosa」を開発・販売しています。収穫体験から全国の催事スタッフなどの仕事があります。
北海道十勝郡浦幌町字栄町31番地