こんにちは! ハハハホステルでヘルパーをしている一ノ瀬悠人です。
前回に引き続き、七協水産様での体験をレポートしていきます。
前編はこちらからご覧ください。
06:50 港での作業
サケのオスメス選別が始まります。
選別は特徴的な形の選別台で行われます。
設置された穴に人がすっぽりと入り、中央のレーンに流れてくるサケを、左にオス、右にメスという風に選別していきます。
早い手つきでぽんぽんサケが滑ってゆきます。
これ、どうやって見分けるの?
選別をしている漁師さんに聞いても、
漁師さん「みたらわかるんだよ。もう何十年やってるから」
というように、「みたらわかる」ようなのです。
一ノ瀬「Mさん、サケのオスメスってどうやって見分けるんですか。漁師さんに聞いても『みたらわかる』ばっかりで…」
Mさん「うーん… ちょっと待ってね」
そこで、Mさんがオスとメスを一匹ずつピックアップして教えてくださいました。
Mさん「これがオス。口先がとがってるでしょ。あと、この背びれの後ろのひれを脂びれっていうんだけど、これもシュッとした形。
それから、尾びれもするどい形してる…って感じかなあ」
Mさん「で、こっちがメス。口も脂びれもちょっと丸っこくなってるでしょ。尻尾も少し緩やかなカーブというか」
一ノ瀬「ほほう…」
せっかく教えていただいたのに、やっぱりまだ見分けがつきませんでした。
(いま記事書いている時もどっちがどっちだか分かってない…)
漁協の荷捌き所の中では混獲魚の選別作業や、サケの計量が行われています。
ここで、サケの売られ方をMさんに教えていただいたので紹介したいと思います。
〜 サケ講座 〜
サケは、よくテレビで見る「せり売」のように値段が決まるのではなく、「入札」というやり方で値段が決まります。
「せり売」は公開の場で多くの買い手に競争で値をつけさせ、最高の値をつけた人に売る取引方法です。
対して「入札」は他の買い手がつけている値段を知ることができません。それゆえに競争者が慎重に値段を決めることができ、大きな額の取引に適した競争契約であると言えます。
漁協では、前日に買取額が決定され、その値段でサケが売られていきます(これを「身請け」とよぶ)。
ちなみに上の写真のように、産卵に向けてピンク色の婚姻色になってしまったサケは「ブナ」と呼ばれます。
このブナは普通のサケに比べて身がおいしくなく、安い値段で取り引きされるそうです。
スーパーなどで特売で安く売られている秋あじにも、このブナがよく混じっているそうです。
たまに食べたあのボソボソしたサケはブナだったのかも。
07:45 朝ごはん!
一通りの作業を終えると、ついに朝ごはんです!!
実は体験の前からこの漁師の朝ごはんが結構楽しみでした!!
(びっくりマークの数からもテンションの高さがうかがえますね)
ふと歩いていると、消防車がナチュラルに駐車場にいたのでびっくり。
実はこれらの消防車はすでに退役したもので、今は網洗浄に利用されているそうです。
そうこうして歩いていると…
着きました!
ガラガラガラ……
扉を開けると暖かい空気と共においしそうな匂いがぶわっと押し寄せてきます!
Mさんに案内されて奥の方へ入っていくと……
なんということでしょう……っ!
大きな長机に鉄板が並べられ、脇にはたくさんのサケの切り身が控えています!お味噌の香ばしい香りにほんのり甘い匂い。
めちゃくちゃ食欲をそそります!
これぞっ!北海道漁師メシ&ご当地メシのちゃんちゃん焼きです!
そして鉄板の隣のお皿には、松川がれいのお刺身が豪快に盛り付けられています。
高級魚なのにこんなにうずたかく無造作に……
これぞ漁師メシ! といわんばかりのお料理の数々に興奮が抑えられません!
それでは、いただきますっ!!!!
〜 食レポタイム 〜
お刺身、いっぱい取れと言われてしまったので、遠慮なくいっぱい取りました。
これに唐辛子醤油をかけていただきます。
口に入れて噛んだ瞬間にすごい弾力とともにうまみが口いっぱいに広がります。ほとばしるうまみと脂、そこに唐辛子醤油が加わることで味がキュッと引き締まって凝縮されて、本当に美味しい!!
これまでお刺身を食べてきてどんなお魚でもあんまり違いがわからなかったけれど、「魚には味があるんだ」と、初めてわかりました。これが松川がれいの味……
お次はちゃんちゃん焼き!
鉄板の上で、甘めの味付けの味噌だれにサケの切り身とお野菜をどさっと乗っけて焼いた豪快な料理です。
漁に出て少し冷えた体に、あったかいちゃんちゃん焼きがしみる……
目玉焼きの黄身を破って、ご飯とサケと白菜とタレと全部まとめてかき込みます。
たっぷりの味噌だれでサケが煮焼きのようになっており、身がふわっふわです。
小骨はいくらかありますが、大して太くないので一緒に食べちゃいます♪
一緒に煮込まれた白菜も味が染みててとろっとろでおいしい!
見た目に映えるとかそういうのはないですが、そういうんじゃないんです!
美味しければいいんです!
お味噌汁は少し冷えてましたがノープロブレムです。
オレンジTシャツの漁師さん「ほれ、目玉焼きできたぞ」
Mさん「サケ追加しなよ、いっぱいあるからどんどん」
一ノ瀬「はい……っ!(感無量)」
ご飯大盛り2杯、サケ4切れ、目玉焼き二つ、松川がれいをお皿に大盛りで3皿、全部たいらげました!
ふう〜満腹満腹。
ごちそうさまでした!
〜 そういえば、サーモンとサケの違い 〜
みなさんはサケ漁と聞いたとき、なんとなくサーモンのお刺身を思い浮かべたのではないでしょうか。
僕は思い浮かべました。
実は、サケとサーモンは似ているようで違うようで、結局は似てるお魚なんです。
(ややこしい)
【サーモン】
日本で一般的に「サーモン」というと、ほとんどの場合養殖されている「トラウトサーモン」のことをいいます。
このトラウトサーモンとは、本来淡水魚であるニジマスを海水で養殖したもの。
生まれてから育つまでずっと海にいて安全な餌を食べ続けてきたサーモンくんは、生食でも大丈夫なのでよくお刺身で食べられるというわけです。
【サケ】
対して「サケ」はほとんど天然物で、川で育って海に下り、産卵のために再び川へ遡上するという性質を持ったお魚のことをいいます。
幼少期に川で育ったサケくんは川魚時代の寄生虫の危険があるのに加え、天然物のため海でいろんなものを食べています。そのせいでアニサキスなどの海の寄生虫の危険も増えるんです。
だから、生食はされないんですね。
つまり、サーモンとサケの違いとは、「鱒」か「鮭」かの違いなわけなんですね〜。
ちなみに、「鱒」と「鮭」の違いはというと…
生物学的な違いはほとんどないそうです。
かつては川に残るものを鱒、海に下るものを鮭、と読んでいたそうですが今ではその境界も曖昧になってきているといいます。
うんちく終わり!
08:10 食後ののんびり休憩
ご飯を食べた後は、隣の休憩部屋でのんびりします。
漁師さんたちが話しているのを、少しとろーんとしながら聞いています。
僕は立命館大学の中でも映像学部というところにいるのですが、なんと以前動画クリエイターさんがここを訪れて、七協水産さんのPVを撮ったというのです。
なんと! 刺激的ですね。
実は僕は今回ひそかに、動画を撮ってドキュメンタリー風にしたいなと思っていたのですが、技術も設備もなく心の中で諦めたのでした。
こちらから七協水産さんの動画が見れるので、ぜひご覧になってみてください!
船頭さん「今日どうだった?」
一ノ瀬「なんていうか、とても楽しかったです!」
船頭さん「はは、そうか。」
一ノ瀬「でも、これをお仕事としてやるとなると、すごくキツイなと思いました。」
船頭さん「実際船に乗ってる時より陸で作業してる時の方が多いからな。網の修理とか。台風なんか来るっつたらもう大変だよ」
まとめ
今回体験して、学べたことがたくさんありました。実際の漁の大変さや、直面している環境問題の重大さ、漁師さんたちの仕事への向き合い方。
そしてそれと同じくらい、自分がまだ無知であったことに気付かされました。
例えば、いくら教科書で「地球温暖化が日本の漁業に深刻な影響を与えている」ということを学んでも、その「影響」とは具体的になんなのか、どのくらい深刻なのか、現場の人たちはそれにどのように向き合っていて、どんな気持ちでいるのか。
実際にその場に行かなければ分からないことが、ここにはたくさんありました。
今回の経験を通じて知ったこと、学んだこと、そして「自分はまだ何も知らないんだ」と知ったこと、すべて大事にしていきたいと思います。
貴重な機会を作っていただいた七協水産のみなさん、ハハハホステルのスタッフさん、本当にありがとうございました!
あとがき
ということで、これにて七協水産さんでのサケ漁体験記は終了です!
ブログを読んでいただきありがとうございました!
私事で恐縮なのですが、長年連れ添ったスマホリングが船上でおなくなりになりました。粘着力完全に消えてる…
荒波の飛沫には流石に耐えられなかったようです。
ありがとう、スマホリング。
↓ふざけて作ったgif