こんにちは。
京都にある同志社大学2年生の柚貴子です。つつうらうらインターンとして、夏休みに2週間滞在しています。
今回は元木農場を営む、元木一彦さんを紹介します!

農業だけでなく、町内のさまざまな活動に携わりながら、町内外の子どもたち・若者・人とつながっている元木さん。
お話をするなかで何度も感じられたのは「人が好き」ということ。そして、今を楽しみながら、未来をわくわくして過ごす生き方でした。
「人生楽しくなくっちゃいけない」
元木さんに初めてお会いしたときから、元木さんの言葉にはまっすぐさを感じました。
「絶対にこれは譲れない!という言葉ですね。自分の限界って何なんだろうっていうのを楽しむ。その時の最大のパワーで物事に取り組んでいます」
「1日の中で1番好きな時間は朝かな。起きたら、『今日は何が起こる?誰と会える?』って毎日楽しみにしています」
インタビューの中で何度も登場した「楽しむ」という言葉に、元木さんらしさが表れているように感じました。
そして、大切にしているのは「七転び八起き」の心。
「失敗してもまた起き上がればいい。起きるのが1回多ければいいんだよ。だから不安はあまりないです。百戦錬磨の生き方で、次を恐れるよりもよっぽど強い。」
「弱いところだって自分のピースなんだからなくそうとしなくていいと思うんだよ。そのほうが人間味があって、疲れない生き方ができると思う」
「弱さも含めて自分の一部として愛おしくなる」
元木さんの言葉から、とてもしなやかな印象を受けました。
とにかく人が大好き
「外から来てくれる『別世界にいる人』との出会いは刺激的ですね。浦幌にずっといると、関わるのはやっぱり知っている人ばっかりになるじゃない。でも、普段は全然違う世界で暮らしているという人に会うと、『ああ、そんな考え方もあるんだ』って。面白いですね」
その一方で、
「気心のしれた浦幌の人たちもいる。そういう人たちがいてくれるから自分ひとりじゃないって、支えになっています」
と話します。
「いろんな人と接点を持たせてもらっているから、今の自分があるんです。それが全部自分の生き方の糧になってる。みんなに自分は磨かれているんだなって」

実は、高校進学で帯広に出たころは、自分に自信がなかったといいます。
「浦幌から出て、自分のことを田舎者みたいに思ってたの。でもいろんな人に出会って、教えてもらって、経験を経て。そうやって自分を磨いていったら、だんだん自分に自信がついてきたんです。それで自分が育った浦幌にも自信を持てるようになったんだと思います」
そんな話を元木さんは難しい顔をせずに、いつも笑顔で話してくれます。
「哲学的なことでも笑顔でしゃべりたいの。ご飯食べたり、飲んだりしながら、楽しくかたい話をしたいんだよね」
元木さんにとって話すことは、ただ楽しいだけではないのかもしれません。
人と出会って自分が変わり、自分が変わることで世界の見え方が変わる。だからこそまた人と会いたくなる。
そんな循環が、元木さんの中にはあるように感じました。
子どもたち、若い人たちへの想い
元木さんは昨年、前期高齢者になるというはがきが届いて、いよいよ自分が高齢者になるんだと突きつけられてがっかりしていたそうです。
でも、今は違います。
「65歳から75歳は人生の黄金時代だと思ってるんだよ」
「まだ働けるんだもん、自分の生活を維持するくらいは。だからもらった年金を若い人たちに還元できるじゃない。そしてそういう人たちからエネルギーをもらえる」
そして、こう続けます。
「若者が追い求める希望のもう一回り先を考える大人でいたい。『こういう大人になりたい』って思ってもらえるような人間像を自分で作っているんです」
そのために、自信を持てる自分であり続けたいし、妥協せず、必要とされる自分へと更新していく。言葉の一つひとつから、元木さんの意志が感じられました。
「つまらない大人だと思われたくない」
「いろいろくどくどいう大人になりたくない。若い人たちと同じように迷っている。だからその迷いも一緒に共有したいんです」

そんな元木さんは毎年、学びサポートネットワーク本部が主催する「うらモンGO!」に農家として協力しています。
「浦幌の子どもたちは高校で町外に出ていくことになるでしょ。だからこそ五感を使った、浦幌での一生忘れられない思い出をつくってほしい。今の子どもたちが、将来、今度は自分の子どもにやらせてあげようって言ってくれたらうれしい。そういう循環を作りたいんです。大人だったら、こっちが真剣にやっていたら『素晴らしいですね』って言ってくれるかもしれない。でも、子どもたちは大人とは違い素直。子どもたちの心の中にどれだけ響いたか、子どもたちの反応を見て、そのイベントが良いものになったかがわかるんです」
私が子どものころから今までに出会ってきた大人たちの中にも元木さんのように、いきいきと自分の人生を楽しんでいる人がいました。元木さんのお話を聞いて、改めて、いきいきと生きるひとりの大人の姿が、誰かの憧れや生き方につながっていく。そんな個人の力の大きさを実感しました。私も元木さんたちのような大人になりたいなと思いました。
「これからやりたいことはね……。実はすごくたのしいこと考えてるんだよね」
今、元木さんが考えていること、それは浦幌の農作物で人と人をつなげていくことです。
例えば、浦幌で育てたハーブを京都に行く人に託す。そしてその人はあらかじめ指定された京都のお店へ届ける。ハーブとの交換で、そのお店の料理を出してもらう。そうすると、京都のお店の人と、届け人が元木さんを通して知り合うことができるのです。

「今、浦幌にはいろんな人が来てくれている。でも、それだけだと続かないと思うんだよね。浦幌からも行く。そうしたら自然に交流したくなるじゃない」
来てもらったら今度はこちら側から向こうへ会いにいく。そのきっかけを元木さんの野菜やハーブが担う。
そうやって時間をかけて人と人の関係をつくっていく。
「そのハーブを売ったら4000円にはなるかもしれない。でも、その4000円でどれだけの人がつながるか考えてみて」
そんな考え方を元木さんはわくわくして話します。
「自分がやっているのは、なんかこう、心地よい水の波紋が広がっていくようなものなんです。農業ってすごく可能性があると思うんです。作物によって人と人をつなぐことができる。それを考えるのが面白いんだよね」
農作物はお金を得るためだけのものじゃない。お腹を満たすためだけのものじゃない。
人と人が出会うきっかけにもなる。そんなことを感じました。
浦幌にきて、私にはずっと関わりたい人、町が増えました。でも、私の地元も同じように田舎で、役に立ちたい気持ちがあります。
浦幌も地元も、どちらにも関わり続ける方法として、元木さんの話はとても実践的に感じました。
そんな関係性の構築はゆっくりかもしれない。けれど、ゆっくり築かれた関係は壊れにくく、確実なのではないか。それが実現した社会が楽しみになるお話でした。
一緒に同じ時間を過ごして
インタビューでお会いしたあと、滞在した2週間の間に農作業をお手伝いさせていただきました。お話をしながら、元木さんの奥様や、農繁期にお手伝いに来ている元木さんのご友人と一緒に作業をしていました。
そこで感じたのは、元木さんが購入者の喜びを考えていることでした。
たとえば枝豆は枝付きのほうがおいしい。だから一つひとつ葉をとって束にする。とても手間がかかり、物価も上がっているのに一束350円。一緒に作業をしている2人は「もう少し高くしてくれないと……」と心配していました。私も心配です。
これが直売所「ザ・ベジタブルショップ21」では大人気で1日に何十束も予約が入ります。
元木さんに趣味を尋ねると「花を育てることですかね。どれだけ経済的に豊かだったとしても、なんか無機質な社会になるんじゃないかって」。
元木さんにとっての趣味は、人にしあわせ、よろこびを届けるためのもののようです。

農場をこれからどうしていくのか。元木さんには3人の娘さんがいますが、第三者に継いでもらうことも考えています。
「血筋がつながっていなくてもいい。でもね、一番大切なことは何なのかってなったら農業の知識があるとかそういうことじゃない。一番大切なのは『心から笑顔の美しい人』」
作業に迎え入れてくださったお2人の雰囲気からも、元木さんが大切にする「人」のあたたかさを感じました。

倒れるなら、前に倒れる。
「自分の人生が終わるまでにできる限りのエネルギーを使い果たしたい。」
と元木さんは話します。
「人の幸せは自分の幸せ」だから先のことを考える。
子どもたちのこと。若い人たちのこと。浦幌のこと。

「先のことって言っても、AIとかじゃなくてさ、五感を使って感情が動くことがいい。人間の身体や感情を通した経験を、次の世代へ渡していきたい」
慎重に言葉を選びながら話してくださる元木さんから、自分の言葉に丁寧に向き合い、人とのつながり、将来のことを大切にしようとする姿勢が伝わってきました。
人生楽しくなくっちゃ!と思う方、人のつながりを大切にしたい方、ぜひ元木農場で元木さんの生き方に触れながら農作業をしてみませんか。
わくわくしたい方からのお問い合わせをお待ちしております!
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おまけ 元木さんの人生を変えた本
『異邦人』(カミュ著、窪田啓作訳)新潮社刊行
『フランダースの犬』(ウィーダ著)
『塩狩峠』(三浦綾子著)新潮社刊行
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この記事を書いた人
この記事を書いた人小島柚貴子
小島柚貴子
同志社大学2年生。人の想いを聴くことが好きです。浦幌で過ごした2週間、大切な人が増えました。これからも、生まれたつながりや心に残った出来事を、言葉にして誰かに伝えていけたら嬉しいです。